経済
国家経済たる理財学に於て、禁酒問題に付、アルコールは生殖的の胚種を破壊すと説くこと、性的範囲に渉る論拠ならずや、昔金座に於て、職工退出の際、裸体にならしめて検査せし窃盜防ぎの手段は、今も造幣局印刷局に於て、男女職工に対して実行しつゝありと聞けり、此貨幣製造に関する一事、経済学に縁なしとせず
嘗て友人会合の席上にて、経済学には猥褻関係の好材料なしといる語りしに、同坐の雨花山人(尾佐竹猛先生)曰く「ない 事はない、川柳点(珠風柳樽第八篇所載)に
丸山に珊瑚珠を産む女あり
とある如く、長崎丸山の遊女が、傾城の外女入るべからずの出島和蘭陀屋敷に行き、其帰る時、珊瑚珠を陰部に包蔵して密輸入をした事は、関税脱れの奸手段であるから、国家経済に関係があるではないか」
「私刑類纂」四十七頁に記せる如く「紅毛人両所の館中へ遊女二十五人宛御免にて、其の出入の節は門番の下役のもの探りと称して、遊女の衣服を改る定法なれども、日々のこと故に衣服の上を鳥渡探るのみ也」の制ありたり