国際
今の国際法学にも何等かの資料存するならんと思惟するのみにて未だ得ず、こゝには古き外交上の事を摘示せん
徳川幕府は如何なる理由に基きしにや、長崎丸山に居住を許せし和蘭陀人に妻帯を禁ぜり、同蘭人の記録にも其理由解し難しとあり、吾人亦之を一つの疑問とせり
「傾城の外女入るべからず」は妻帯を禁ぜりといへども、本能の性欲を禁遏すべきにあらずとして、和蘭陀屋敷に遊女の出入を許せしなるが、其為め「丸山に珊瑚珠を生む女あり」の脱税行為起り「毛唐人女の尻に鉢を置き」タハゴトも起りしならん、又「私刑類纂」四十七頁に記せるが如く、和蘭陀人が日本の女を裸体にして全身に墨を塗る私的制裁の事なども行はれしなり
支那人との交通に就ても、性的のイキサツ多くあり、漂流人が異国に於ての性交的奇談もあり、長井長義、尾崎行雄等の如く日本人と異人種との結婚生活に就ても、局外者の窺知すべからざる珍事多からんと察せらる
裸体にて恥ぢざる蠻界に入りし或る文明人が、褌を解かざりしとて不具者ならんと嘲られたりとの訳もあり