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倫理

人には男女の別あり、故に男は男として造られし独立せる物なれども、男なるが故に「人」としての本性を完全に具備せざる者なり、女も亦これと同様、女なるが故に「人」としては欠点ある者なり、人は男女の両性が相合して始めて完全なる人格の域に達し得るなりと、これは倫理哲学者の説く所にて、倫道の根本義を喝破せるものならんか、男女相合すといふこと、そも之を如何に解すべきや

モーゼの十戒中に「他人の妻を羨むべからず」といへる」節あり、基督の教へには「他人の妻を見て好しと思へば心は既に姦通の罪を犯せるなり」との義を説けり、「アヽ美人だなア」と感ずる裏には性的野心を包含するが故なり

父子相姦、兄妹相姦は原始時代に行はれたる事なれども、今は世界各国共に之を非倫として、法律制裁又は道徳制裁を加ふる事とせり

印度の一夫多妻、西蔵の一妻多夫、兄弟共有の妻、曰く結婚、曰く夫婦、曰く姦通、性的倫理は所によりて違ひ、時によりて異なれども、要するに倫理学の範囲は男女和合の性的問題多きにあらずや