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人種

種族の特殊生理特殊心理を説ける人種学にも亦猥褻に関する事多し。奇風奇習は別項に於て記述せん

熱帯地方の裸体民族に想到する者、誰か先づ卑近の実感を起さゞらんや、印度の早婚、四五歳にして月経ありと聞くも亦、其造化の奇に驚くなるべし

ランプ亡国論の主唱者として著名なる佐田介石の著、明治十二年発行「栽培経済論」後篇に、和洋人は風俗体質を異にするもの、これと交通すべからずとの論証を挙げたる中

日本人―陰茎頭大於根形如松蕈

洋人―頭尖形如禿筆

果して然るや否やは知らずといへども、国家経済論に人種学的の差異例を示すものと見るべし

アフリカ、北アメリカ、オースタリア等の蛮族中には、生理的の異状もあり、サラ蛮族の突出したる唇、ホッテントット蛮族の巨大なる臀部等は、性交上に変態ある事を記せるものあり、我国にては、旧穢多部落の民族は、女子の生殖器に異状ありとする妄説行はれたり、これに類せし一事明治二十四年越後長岡にて発行せし「温古之栞」第二十二篇に見ゆ 「当国魚沼古志三島郡辺には、往古よりの言伝へにて文化の頃までは、◯村或は交りて「たゆふ筋」といへるもの多くありしとぞ、其由来は詳ならずと雖も、男女とも手足の骨格と陰部の内に常人と異る形なる処のありしものにて、他人は此筋目の者と結婚を忌避ひしは、今尚ほ老者の知るところ也」

此事、後年発行の「越後風俗志」にも転載されあり

医学博士足立文太郎子の「腋臭」といへる講演中に、人種学上面白き問題として、人種によりて腋臭に強弱ある事を説き、又腋臭の時期が生殖に関係ありとして

「腋臭の最も甚だしい黒人といつても、小児の時期に腋臭はない、又老年になつても腋臭はない、男ならばも気づく頃から起り、女子は月経時に其臭気が強い、これは確な事実である、そこで腋臭と生殖とは関係があると思ふ、西洋では此腋臭を惚れに使用する、自分が惚れて貰ひたいと思ふ男に、コーヒの中に自分の腋下の液を少し入れて飲ませれば、其効能が顕著だと伝へられて居る動物は交尾期になると一種の臭気が高く成り、互に其臭気で異性を呼び寄せやうとする、人間の腋臭もそれと同様の関係があらうと思ふ」