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犯罪

新科学としての犯罪学(クリミノロジイ)は、伊太利の学者ロンブロゾオ氏に始まりしと云ひ、又西斑牙のデ・クイロース氏の創始なりとの説あり、いづれも生理的形態学、即ち人相学骨相学を基礎とせる点が主要を占むるに反し、独逸の学者クラフト・エピング氏は変態心理を根本として犯 罪学を組織せんとするが如し、其著書には各国猥褻罪の統計を示し、変態性欲者の倒錯心理を説き、痴呆症、癲癇患者等に陰部露出、死体姦犯等の風俗壊乱罪多しとせり

又他の犯罪学者は、風土的犯罪、気侯的犯罪を挙げて、熱帯地方には性欲的犯罪多しとし、温帯地方にては春夏の斯に性欲的犯罪多しとせり、熱帯地方にては衣食住のために労苦する事少く、其簡易生活の余暇余裕にて性欲方面に発展すること多きに因り、春夏期に性欲的犯罪の多きは、暑気のため婦人少女が戸外に長く留る事、森林或は水辺に出で保護なき散歩をなす事、軽羅なるが故に肉体美を現はして異性の欲情を挑発すること著しく、又一方男子は渇を癒せんがために飲酒して酔狂に陥る等に因るとせり

我国の実例を見るに、半陰陽者には其フタナリなる故の犯罪多かりしが如し、又女子陰部の無毛者、陰部巨大の者には淫婦毒婦多く、随つて犯罪多しと説く者もあり