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軍事

我国にて古く兵学といひ軍学といひし書にも、性的関係の事実あり、戦時には性交を厳禁すれども、敵の婦女を掠奪せし場合の乱行は想察以上の惨事たりしなるべし、軍陣に売女を招きし事は、鎌倉時代後の戦史に明記する所、東寺の「勝絵」といへるは島羽僧正の筆にて性交的淫画なり、これを勝絵と名づくるは、春画を具足櫃に入れて出陣すれば戦ひに勝利を得るとの説に拠れりとす

関ケ原陣の軍令に「於敵地男女を不可乱取事」とあり、又陣屋に敵の女を隠し置く者は、主人の知行をも没収すとの制ありたり、これにて掠奪強淫の盛に行はれしを察すべし「戦地にて銃殺せし敵の間諜の屍体より陰茎を切取り、其陰茎を其者の口唇に篏めし事あり」とは「私刑類纂」の間牒の条に記せる所なり

東京の陸軍幼年学校の掲示板に

「放尿の際は食指と中指との間に挿み縦に三回振りて余瀝を残さゞるやうにすべし」

とありと聞けり、又欧洲大戦当時に行はれし「生殖帰休兵」の一事は性的関係の大なりことたり

理学博士山内繁雄先生著「生殖と戦争」の自序に曰く「戦争は生存競争の一面に過ぎぬ、生存と生殖とは生物のあらん限りは変ることなく存する二大事実で、生存には必ず競争が伴ふ、従つて生殖と戦争は生吻のある以上は必然の事実である」と、これは生物学説なれども、人類のみに就て云へば、未開時代の戦争は、生存上より起りし競争の外、婦女掠奪を主とせし戦争もありしなれば、戦争には生存のための戦争と生殖のための戦争ありしを知るべし、又「犯罪の裏面に女あり」といへるが如く「戦争の裏面に女あり」の事実は、内外の歴史に記する所たり