雑学
以上、概記せし外、科学として存立する余多の学説に関しての性的問題をこゝに略述せん
商品の広告に美人の裸体画を出し、商店の装怖に美人の裸体像を建つるが如きは、性的繁栄策と見るべし、昔は「甜め筆屋」といへるあり、美貌の娘が筆の毛を一々甜めて客に渡せしかば、其店大に繁昌せりといふ、又、「前出し店」とて、店に坐せる女房が立膝にて客に応待する等の事も行はれたり
婦人科医、花柳病医、娼妓検黴院等の診断は局外者の想像に難からぎる醜状なるべし、ヤヽ高尚らしきは、姙娠か否かの診断、処女か否かの貞操診断等なれどもこれとてもナマメカシキ診断なり、又半陰陽の診断は当時者の好奇心を満足せしむることなるべし
新科学なるが、予未だ其内容の如何を知らずといへども、記事の撰択法、行文の練磨法等なかるべからずとすれば、卑猥事実を報ずるの是非を論じ、又「強姦」を「凌辱」と書ぐべし、「手淫」を「自遂」と書くべしなどの研究もある筈なり
故文学博士井上円了先生の創説なり、未だ科学として承認すべき組織説にはあらずして、妖怪研究といふに過ぎざるものなれども、其研究事例に入るべきは、「逸著聞集」に見ゆる、木曽山中のあばら屋に目鼻なぐ口の縦に裂けし「化物の正体見たり」の談なるべし
牛馬犬羊の性癖治療法あり、又公衆の面前にて公行し難き優生学応用の人工交尾術等あり
此外、統計学、遺伝学、農学等にもあれど、直接関係の事にあらざるゆゑ省けり